こんにちは、あるいはこんばんはゲベルク織部です。一日いちにち日差しが長くなってくる今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか?僕は今仮面ライダーキバのプラモデルを作っています。ですが肘のパーツを紛失してしまい、一週間以上前に部品請求しましたがバンダイさんから発送や納期の連絡がきません。というわけで作れるところは作ってしまったのですが現在部品待ちで停止中です。また、2月23日朝に「チ。」の感想を投稿して1日立たずの投稿です。自分の中で最速投稿更新です。…ゆっくり解説動画でいうところの茶番はこれくらいにして本編へいきましょう。
ー【ちいかわ】は現代の極楽地獄図であるー
今(2025年2月現在)日本は約30年間続く不景気による経済停滞、給料昇給も据え置き、その時の負の遺産である氷河期世代の問題、治安の悪化、政治の低迷が続いており、最近長野県のガソリン価格が高いのが業者の談合であったことが発覚、夏以降の米不足や価格高騰は別業種(スクラップ、IT)業者が不当な買い占めをおこなっていたことが発覚、相変わらず転売屋による流通商品の不当買い占めによる価格高騰が横行。日用品も商品によっては入手困難状態、世紀末は終わったのに日々世紀末感が色濃くなってきています。
そんな現在癒しとしてのかわいいキャラクターとして「ちいかわ」がネットから爆誕し、単行本発売、テレビ放送(今大問題を抱えたフジテレビで放映されてるのがまたいいシチュエーションだと思います)、そしてグッズ販売等でものすごい売れ行きをたたき出しています。ネット予約して入場料を払わないと買い物ができないちいかわショップのあり様とそれでも群がる人々、湯水のように100円玉をいれてUFOキャッチャーでぬいぐるみを取ろうとする人々、倍の値段で転売する転売屋達。正直に言うとキャラクターは可愛いいですが「ちいかわ」の物語と現実世界の状況はとんでもなくエゲツナイものです。女子供が見るべきものではありません。(汚い言い方ごめんなさい)大半の人々は物語を理解していない(読解力の問題?)か敢えて話はスルーして可愛らしいグッズしか見ていないのだと思われます。
まず表題の結論を再度いいますと「ちいかわ」の物語は作者のナガノ先生があの絵柄で描いた地獄図であるということです。可愛らしい絵になってはいますがあんな残酷な展開、設定は近代稀に見るものだと言わざるを得ません。僕はこれは長岳寺にある極楽地獄図の地獄図現代版であると思います。理由を列挙するときりがなくなるので簡潔に言うことにします。
ちいかわ族(本編ではそう書いていませんが)と呼ばれる可愛い者たちはその見た目とはうらはらにとても厳しい環境で生きています。
衣食住・労働と社会システム
①彼らには鎧を着た種族、俗称「鎧さん」たちが有料で店舗での薬や食事の販売・提供、金銭を得るための仕事を斡旋しています。ですがそのサポートは狭い範囲のことで進んでフォローをすることはありません。(上司的立場の鎧が部下にちいかわ族と仲良くすることを禁ずる発言もあります)あくまでちいかわ族各人が自分の意志、責任で選択して行っていることです。働いて稼がないとお金を得ることはできません。もちろんケガをして働けなくなってもだれも助けてくれずセーフティーネットもありません。また、彼らの社会システムには警察もありません。すべてが自己責任で廻っています。また、食べ物が自然に湧くことがあるのですが発生条件はランダムで、ある日突然枯渇したりします。その発生のためにちいかわ族の生死が関わっているとの考察もあります。
②住宅もありますがとても高額なためハチワレやカニちゃんという個体は洞窟に住んでいるらしい描写があります。ただ、運が良ければ懸賞で家が当たることもあるらしく主役であるちいかわは懸賞で得た家に住んでいます。(懸賞の存在と当たりはずれに何らかの意図が働いている可能性があります)また、自警団や警察がないので当然のように怪異が突然襲ってくることが高頻度で起こります。
③斡旋される労働は大まかに2種類あります。一つは作業系、工場で行う軽作業や外での草むしり、植物の採集。2つ目は怪異(モンスターや同族が変化した怪物)の討伐と言う名の駆除です。討伐は作業より金額は高いですが明らかに難易度高く、強い怪異と相対すると命を落とすこともザラにあります。また、使用する武器もピンきりで高額なものは攻撃力が高いが、レンタル品は弱いようです。基本鎧さんが助けてくれることはありません。
このようにちいかわ族たちは死と隣り合わせの環境にて自己責任でサバイバルともいえる生活を強いられています。直接は表現されていませんが彼ら自身が怪物化する危険性も有していて、そうなるとそうとは知らない同族から討伐対象として駆除されてしまい、逆に同族を喰ってしまうことにもなります。(討伐対象を決めて成功報酬を渡しているのは鎧さん達です)文章で書くと大したことないように感じられますがマンガでのエピソードは絵柄の見た目と違いかなりハードです。意識してわざと残虐なものを見せないようにしている節があり(怪異に襲われての欠損や確実に食われていることのにおわせはふんだんにあります)、背景や表現されていない事を考えるとゾッとすることがあります、というかほとんどの事象は裏が感じられます。(人類絶滅後の世界との考察もあります)
厳しい環境で自己責任で死と隣り合わせの生活を強いられているちいかわ族の状況は(意図して表現が避けられていますが)まさに地獄の責め苦に等しいものがあります。というか、「ちいかわ」の世界は我々の生活する現実社会以上に残酷な世界です。そしてそれは作者であるナガノ先生が描いた地獄だと言えるということです。
最後に地獄図であるもう一つの理由は、作者のナガノ先生がドSでキュートアグレッションの癖があるということです。著書「ナガノのくまの本」3巻以下刊行中では可愛い絵柄で同族キャラクターの共食いやこの後必ず起こるであろうとばっちりを喰らう惨劇が描かれています。また可愛いいキャラクターが酷い目に合うさまがこれでもかと描かれています。もちろん「ちいかわ」の中でも主に「ちいかわ」と「ハチワレ」が独自の視点、表現で酷い目に合う様が描かれています。
「ちいかわ」についてメインカルチャーとしての評価は誤解であり、作者のナガノ先生がもつ特異な趣味嗜好を全開にした癖の書物であり、サブカルチャーであるべきものだと思います。決してけなしているのではありません。僕にとってこの物語への周囲の誤解がくやしいのです。いや、僕の妄想である可能性が大なのですが…。
この本で描かれている物語は僕にとって、一度は諦めた本当に求めていた欲しかったものなのです。ずっと人に言うことなく隠してきたどす黒い欲求、性癖ではないもっと深い部分、魂を揺さぶる感情の具現なのです。昔、子供の頃近所の年下の少年が彼の家で飼っていた可愛い子犬をいじめて逆さにして深い水路に落とすふりをしていたことがありました。犬が必死にもがく様を見て本当は少年を止めなければならないのに僕はこの行為をやめさせることが出来ませんでした。むしろ我を忘れ嫌がる犬に見とれてしまっていたのでした。長い至福の時間が過ぎました。彼は僕をみて恐ろしいものを見たような素振りで逃げていきました。その時僕はどのような表情を浮かべていたのか思い出すことができませんが、何かを察したのかそれ以降、彼は僕に近づかなくなりました。過去に観たどす黒く歪んだ憧憬が「ちいかわ」にはありました。それまで深いところに隠して忘れたふりをしていたどうしようもない欲望を長い年月を経て見つけてしまったのです。ナガノ先生は同じものを持っていてそれを表現する術を持って僕に示してきたのでした。それ故僕にとってその物語は隠れて読むものであり、決して日にさらしてはいけないどうしようもない欲望の象徴だったのです。逆にこれを健全な感情で受け入れられる他人の心が理解できないのです。
変な終わり方ですがこれが僕が思う「ちいかわ」が現代の地獄図だという考察です。
今回は以上です。
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